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四国昔話八十八ヶ所巡り
お園の州  香川県丸亀市・本島

昔むかし、瀬戸内海に浮かぶ本島でのおはなしじゃ。

ある年の大潮の雛祭りの日、島の人たちはたいそう年貢のとりたてが厳しく強欲物の代官・福田権守(ごんのかみ)を誘って園の州へ磯遊びにでかけたそうな。
園の州はいつもは激しい潮の流れにかくれておるのじゃが、大潮の日だけは地上に現れるので歩いて行けるのじゃ。

この美しい白い砂浜の上で、代官は島の人たちにお酒をすすめられて、すっかり飲みすぎてしまい、とうとう酔いつぶれてぐうぐうと寝てしまったそうな。

代官は、足元に打ち寄せる波の音に目を覚ましたが、島の人たちは既にみな帰ってしまい誰もおらなんだ。
代官は急いで福田の浦に帰ろうとしたのじゃが、酒によって足も腰もたたなんだそうじゃ。

このあまり評判のよくない代官にはおそのというかわいい一人娘がおった。
情け容赦のない代官と比べて、この娘はたいそう気立てのよい島の人たちにも優しい娘じゃった。
帰りの遅い父親を心配して、おそのは雛祭りの晴着のままぽっくり下駄を履いて迎えにいったそうな。
福田と尻浜の間にある岩の所まで来た時、おそのは溺れかけている父親を見つけた。
「だれかきてー!お父様を助けて!」
おそのは島の人たちに助けを求めたのじゃが、誰も助けには来てくれなんだ。
その時、おそのがじだんだを踏んで悔しがったぽっくり下駄の跡が岩の上にはっきりと刻まれてしまったそうじゃ。

父親が溺れ死んでからというもの、おそのは島の人たちの非情さと恨み、笑顔は消えてしまったそうな。

それからしばらくして、代官が溺れ死んだ園の州あたりで船の遭難があったり、島に悪い病気がはやったりと、いろいろな災難が立て続けにおきたので、島の人たちは代官のたたりかもしれないと思うようになったのじゃそうな。
島の女たちも、残された娘の気持ちをどうなぐさめたらよいか思案しておったそうな。
次の年からは、雛祭りの日が来ても島の女たちはお雛様を飾らなくなったそうじゃ。
そればかりか、島の人たちは、園の州が現れる大潮の日の楽しみだった潮干狩りもしなくなり、浜辺へ出ることも慎んで家の内でじっと過ごすようになったそうな。

そして、代官の霊をなぐさめるため、福田に若宮さんを祀ったそうじゃ。
島の人たちは漁を休み若宮さんにお参りをしたり、墓参りをしたりして三月三日を過ごすようになったそうな。

大潮の日に現れる園の州とともに、福田権守を祀った若宮さんや、おそのがじだんだを踏んだ跡は、今もなお残っておるという。



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