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四国昔話八十八ヶ所巡り
すっぺい太郎  徳島県三好市・祖谷山

昔むかし、祖谷山での不思議なお話じゃ。

ある猟師が夫婦で暮らしておった。
猟師はとても貧乏で、お正月じゃというのに灯り火をつける油さえなかったので、山へ火をつける松の根っこを取りに行ったそうじゃ。

猟師が山奥へどんどん入っていくと、大きな松のほら穴を見つけた。
不思議なことに、その松のほら穴から賑やかな音が聞こえてきたそうな。

猟師が穴の中へ入って行くと、なんとその中には村があって祭りをしておったそうな。
笛や太鼓の音に誘われて、猟師が鎮守さんの方へ歩いていくと、途中一軒の家から不思議な太鼓の音が聞こえてきたそうな。
猟師が近づいてみると
「丹波のすっぺい太郎に知らしてくれるな、ドンドコドン」
という大声ではやしたてるのが聞こえたそうな。

猟師は、そのおはやしがあまりにも面白いので、つられて家の中へ入って行って、そこにいたみんなと踊り始めてしもうたそうな。
そこで三日三晩どんちゃん騒ぎを楽しんだそうな。

疲れ果てて猟師が家に戻ると、嫁さんがびっくりして、今までどこへ行っておったのか?と訪ねるので、赫々云々(かくかくしかじか)で三日三晩踊っておったと言うと「おまえさんがいなくなって、もう三年にもなる。おまえさんは死んだものと思って、きのう葬式を出した」と言うのじゃ。

今度は猟師の方がびっくりしたそうな。
不思議な体験をした猟師は、なにやら恐ろしくなって、それ以来、山奥へ足を踏み入れなくなったということじゃ。

この噂を聞いた村の者は、それ以来正月の七日間は山へ行かなくなったということじゃ。



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